海外ノマドになる前に知っておくべき日本の税金・住民票・確定申告の基礎知識を解説。トラブルを避けるためのポイントも紹介します。
1. はじめに

海外で自由に働く「ノマドワーカー」は年々増加していますが、見落としがちなのが「税金や住民票」に関する手続きです。日本に住民票があるまま海外に滞在する場合、日本の税制に従って納税・確定申告をする必要があるため、正しく知識を持っておかないと後々トラブルになることも。
この記事では、海外ノマドが押さえておきたい税務関連の基本と注意点を解説します。
2. 日本に住民票を残す or 抜く?
● 住民票を「残す」場合のポイント
- 日本の健康保険や年金に加入し続ける必要あり
- 所得がある場合、日本での住民税・所得税の納税義務が継続
- 確定申告は日本国内のルールに従って提出
特に、1年未満の短期滞在や帰国の予定がある場合には、住民票を残すケースが多くなります。
● 住民票を「抜く(海外転出届)」場合のメリット・デメリット
- 日本の住民税・国保・年金の支払いが不要になる
- ただし、日本の健康保険が使えなくなるため、海外旅行保険などが必要
- 長期間海外で活動する予定がある場合はこちらがおすすめ
3. 海外ノマドの確定申告:必要かどうかの判断基準

● 日本に「所得がある」場合は確定申告が必要
たとえば以下のようなケースは、日本での確定申告が必要です:
- 日本の企業から業務委託で報酬を受けている
- 日本にある銀行口座で収入を受け取っている
- ブログやアフィリエイトの収益が日本企業から支払われている
所得が20万円を超える場合(給与所得以外)は、原則確定申告が必要になります。
● 海外での所得のみの場合
住民票を抜いたうえで、すべての収入を現地で得ている場合、日本での確定申告義務は基本的に生じません。ただし、税務署から調査されることもあるため、証拠となる取引記録や居住証明の保管は必須です。
4. 日本への納税と二重課税のリスク

● 二重課税とは?
海外で所得税を支払い、日本でも課税されることで、同じ所得に対して二重で税金がかかるリスクを指します。これを防ぐためには「外国税額控除」や「租税条約」の活用が必要です。
● 日本が締結している租税条約とは?
多くの国と「二重課税を防ぐための協定(租税条約)」が締結されています。たとえばタイやインドネシア、マレーシアなど、人気のノマド先も対象国です。
租税条約がある国に居住していることが証明できれば、日本での税負担を軽減・免除できるケースがあります。
5. 税金・社会保険を抑えるための具体的対策
● 海外転出届を出す
長期的に海外で生活する場合、最も確実な方法が「海外転出届」を役所に提出し、住民票を抜くこと。これにより、以下が不要になります:
- 住民税の支払い
- 国民健康保険の加入
- 国民年金(任意加入は可能)
※健康保険は海外旅行保険や現地の民間保険でカバーする形となります。
● オフショア口座や海外法人の設立(上級者向け)
合法的な節税を目指す場合、シンガポールやドバイなどで法人を設立する人もいます。ただし、税法や国際取引に精通している税理士のサポートが必須です。
6. 税務上の注意点・トラブルを防ぐには?

● 無申告や誤申告に注意
住民票を残したまま確定申告をしなかった場合、後から追徴課税が発生することもあります。毎年の収入記録や取引明細をしっかりと保存し、必要に応じて税理士に相談することをおすすめします。
● 海外ノマドに理解のある税理士を見つける
すべてを自己判断で行うのはリスクが大きいため、「海外在住者向け税務」に精通した税理士をパートナーとしておくと安心です。最近では、Zoomなどで相談可能なオンライン税理士も増えています。
7. まとめ
海外ノマドとして自由に働くには、税金や住民票の取り扱いをしっかりと理解することが不可欠です。特に住民票を抜くかどうかは、収入や滞在期間によって判断が分かれるポイント。
確定申告や節税対策はプロに相談しながら、トラブルなく安心してノマド生活を送りましょう。